万一に備えるための〜保険の相続対策
万一に備えるための〜保険の相続対策
文書作成日:2025/10/05
生命保険契約の受取人変更

生命保険契約の受取人変更について教えてください。

Q
今月のご相談

 夫が加入している生命保険の加入内容を確認したところ、現在も継続している契約が2契約ありました。夫に万が一のことがあっても、今後の生活費は確保できているため、死亡保険金の受取人を契約Aは子ども(長男と長女)に、契約Bは孫(養子縁組なし)に変更したいと考えています。

 下記について教えてください。

  1. @ 加入時でなくても死亡保険金の受取人を変更することは可能でしょうか? また、受取人変更時に課税関係は発生するのでしょうか?
  2. A 未成年の孫を死亡保険金の受取人に指定することはできますか?
  3. B 契約Aについて、死亡保険金の受取人を複数(長男と長女)指定することはできますか?
  4. C 夫が亡くなった場合、子どもと孫が受け取る死亡保険金に税金はかかるのでしょうか?

【家族構成】

【現在の契約内容】

契約A 契約B
保険種類 終身保険 終身保険
保険金額 1,500万円 1,000万円
契約者、保険料負担者
被保険者
死亡保険金受取人 私(配偶者) 私(配偶者)
A-1
ワンポイントアドバイス

 死亡保険金の受取人については、契約加入時でなくても、被保険者の同意を得ることで変更することが可能です。また、受取人変更時に課税関係は発生せず、死亡保険金受取時に課税されることになります。

A-2
詳細解説

 ご相談の@〜Cについて、それぞれ解説いたします。

@受取人変更について

加入以降も、契約者は被保険者の同意を得て受取人の変更が可能です。受取人を変更した時点で課税されることはありませんが、死亡保険金を受け取った時に課税関係が発生します。

A未成年者の受取人指定について

未成年者も保険金受取人に指定することができます。ただし、実際に保険金の請求手続きを行う時点で未成年者である場合には、その未成年者が手続きを行うことはできません。この場合は、親権者または未成年後見人が未成年者に代わり、請求手続きを行う必要があります。

B受取人の複数指定について

被保険者の同意を得て、複数人を受取人として指定することが可能です。複数人を指定する場合は、受取人ごとに受取割合を決め、合計100%になるように指定します。

C課税関係について

いずれの契約においても、契約者、保険料負担者、被保険者すべてご主人様となっています。そのため、お子様、お孫様が受け取る死亡保険金は、いずれもみなし相続財産として相続税の課税対象となります。仮に、現在の親族関係のまま相続が発生した場合には、お子様は相続人として、生命保険の非課税枠(500万円×法定相続人の数)が適用できますが、お孫様は相続人とはならないため、適用することはできません。ただし、相続の放棄や、代襲相続、養子縁組など事情が変われば、この限りではありません。

また、被相続人の一親等の血族(代襲相続人となった孫(直系卑属)を含む)及び配偶者以外の人が相続等により財産を取得した場合は、その人の相続税額にその相続税額の2割に相当する金額が加算されます。今回のケースでは、お孫様は代襲相続人に該当しない限り、相続税の2割加算の対象となります。

 保険金の受取事由が発生する前であれば、契約の途中であっても受取人変更を行うことが可能です。ただし、契約内容によって、将来の保険金受取時にかかる税金の計算方法が異なります。目的やかかる税金への影響を十分に考慮することが重要です。

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